2008年05月20日
徘徊物語・宇治六帖-「チベットへ」
本堂でのお参りを済ませて時計を見ると、まだ2時前である。初夏の太陽は真上にあって、一日の時間はまだたっぷり残っている。「琴坂」を下り「朝霧橋」のたもとまで戻って、橋を渡るかどうか思案した。今回の徘徊では「中の島」にも川の左岸にも、足を踏み入れることさえしていない。そこには「平等院」をはじめ予定していた訪問先が、いくつも残っている。しかし、朝からの濃密な数時間に、肉体も精神も疲弊してしまったようで、これ以上徘徊を続けるだけのエネルギーは残っていなかった。残りの訪問先は次の楽しみにして、ひとまず引き上げること決める。
そうと決めたものの、黙ってこのまま帰るのも何か心残りな気がした。そこで、松山の叔母へのいたずら電話を思いついた。この叔母は、毎日のように殺風景な家の周りを徘徊しているので、目の前のこの素晴らしい風景を自慢してやれば、さぞかし悔しがることだろう。しかし、あいにく留守のようだ。仕方なく、品の良い造りの茶屋や蕎麦屋や喫茶店が立ち並ぶ「朝霧通り」を、心地よい疲労感を味わいながら「宇治駅」まで下っていった。
平日の昼下がりの「宇治駅」は、やっぱり閑散としている。ホームに上っても人影はまばらで、観光地の駅とは思えない。そんなホームに男女10人ばかりの若者の集団がいた。どうやら言葉からして、中国人のようである。同じ車両にドカドカと乗り込んできて、思い思いの小集団を作って、おしゃべりが始まった。見るところ留学生の集まりではなく、いわゆる富裕層の子息たちが、観光目的でこの地を訪れたようである。
思えば、たった今訪ねた「興聖寺」の開祖道元禅師にしても、弘法大師も伝教大使も、かって日本人の精神構造の形成において、重要な役割を果たしてきた先人たちは、皆中国で学んできた人たちである。2000年以上前にインドに誕生し、やがてチベット・中国・日本だけでなく、東アジア全域に根を張った仏教思想は、それぞれに形を変えて今日に至っている。そういう意味で、仏教思想はこの地域の人々の精神のルーツといえよう。しかし、特に日本と中国においては、先の世界大戦における敗戦を経験して、それぞれのやり方でこれまでの自らの精神基盤を全否定してしまった。その他の地域においても、物質文明に席捲されながら、かつての精神的ルーツを見失いつつある。そんな中にあってチベットこそは、純粋にそのルーツを保持している国である。ダライラマ14世のいうように、中国におけるチベット問題は単なる人権問題ではなく、貴重な人類の叡智の存亡の危機といえるのではなかろうか。中国の賑やかな若者たちの振る舞いを横目で見ながら、思いはいつしかチベットに移っていた。
今日の徘徊は、そもそも舟橋川の薫風が機縁となって、ここまで来てしまったが、次回はいっそのことチベットあたりまで、足を伸ばしてみようか知らん。
そうと決めたものの、黙ってこのまま帰るのも何か心残りな気がした。そこで、松山の叔母へのいたずら電話を思いついた。この叔母は、毎日のように殺風景な家の周りを徘徊しているので、目の前のこの素晴らしい風景を自慢してやれば、さぞかし悔しがることだろう。しかし、あいにく留守のようだ。仕方なく、品の良い造りの茶屋や蕎麦屋や喫茶店が立ち並ぶ「朝霧通り」を、心地よい疲労感を味わいながら「宇治駅」まで下っていった。
平日の昼下がりの「宇治駅」は、やっぱり閑散としている。ホームに上っても人影はまばらで、観光地の駅とは思えない。そんなホームに男女10人ばかりの若者の集団がいた。どうやら言葉からして、中国人のようである。同じ車両にドカドカと乗り込んできて、思い思いの小集団を作って、おしゃべりが始まった。見るところ留学生の集まりではなく、いわゆる富裕層の子息たちが、観光目的でこの地を訪れたようである。
思えば、たった今訪ねた「興聖寺」の開祖道元禅師にしても、弘法大師も伝教大使も、かって日本人の精神構造の形成において、重要な役割を果たしてきた先人たちは、皆中国で学んできた人たちである。2000年以上前にインドに誕生し、やがてチベット・中国・日本だけでなく、東アジア全域に根を張った仏教思想は、それぞれに形を変えて今日に至っている。そういう意味で、仏教思想はこの地域の人々の精神のルーツといえよう。しかし、特に日本と中国においては、先の世界大戦における敗戦を経験して、それぞれのやり方でこれまでの自らの精神基盤を全否定してしまった。その他の地域においても、物質文明に席捲されながら、かつての精神的ルーツを見失いつつある。そんな中にあってチベットこそは、純粋にそのルーツを保持している国である。ダライラマ14世のいうように、中国におけるチベット問題は単なる人権問題ではなく、貴重な人類の叡智の存亡の危機といえるのではなかろうか。中国の賑やかな若者たちの振る舞いを横目で見ながら、思いはいつしかチベットに移っていた。
今日の徘徊は、そもそも舟橋川の薫風が機縁となって、ここまで来てしまったが、次回はいっそのことチベットあたりまで、足を伸ばしてみようか知らん。
Posted by オイボレブローガー at 13:37│Comments(3)│TrackBack(0)
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この記事へのコメント
Pinotもお忘れ無く.
メールください.
メールください.
Posted by kob at 2008年05月21日 19:19
Pinotで待ってます!
Posted by nishi at 2008年05月30日 01:03
元気ですか~!
Posted by かとやん at 2008年07月19日 00:08
